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1 はじめに
いじめは、生徒の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、将来にわたって、いじめを受けた生徒を苦しめるばかりか、人間の尊厳を侵害し、生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある絶対に許されない行為であり、本校でも起こり得るとの認識をもって取り組まなければならない。
そのためには、常に、保護者や地域住民、関係機関等との連携を図りつつ、学校全体で組織的にいじめの防止及び早期発見に努めるとともに、生徒がいじめを受けていると思われるときは、迅速かつ適切に対処し、さらにその再発防止に努める。
2 いじめの定義
【いじめ防止対策推進法 第2条】
児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、法に定められた定義に基づき行うものとする。その際、いじめられた生徒の立場に立つことを基本とし、表面的、形式的に判断するのではなく、いじめには様々な態様があることを踏まえ、生徒の言動をき
め細かく観察するものとする。
また、いじめの認知については、次の項目に留意する。
・「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級や部活動の生徒や、塾・スポーツクラブ等当該生徒が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該生徒と何らかの人的関係を指す。
・「物理的な影響」とは、身体的な影響をはじめ、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことをさせられたりすることや、インターネット上での誹謗中傷なども意味する。
・けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する。
・好意から行った行為が意図せずに相手側の児童生徒に心身の苦痛を感じさせてしまったような場合や、軽い言葉で相手を傷つけたが、すぐに加害者が謝罪し教員の指導によらずして良好な関係を再び築くことができた場合等においては、「いじめ」という言葉を使わず指導するなど、柔軟な対応による対処も可能である。ただし、この場合もいじめに該当するため情報共有することは必要である。
・インターネット上で悪口を書かれた生徒が、そのことを知らず、心身の苦痛を感じていない場合についても、加害行為を行った生徒が判明した場合は、いじめと判断して適切な対応をとる。
・いじめの中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、迅速に警察に相談する必要のあるものや、生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報しなければならないものが含まれる。
3 いじめの理解
いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である。いじめに気づくためには、「いじめは、見ようとしないと見えない」との認識に立ち、いじめに見られる集団構造やいじめの態様についてしっかりと理解する。
(1)いじめに見られる集団構造
いじめは、加害・被害という二者関係だけの問題ではない。周りではやし立てたり面白がったりする「観衆」や、見て見ぬ振りをし、暗黙の了解を与えている「傍観者」も、いじめを助長する存在である。
また、一見、仲が良い集団においても、集団内に上下関係があり、上位の者が下位の者に他者へのいじめを強要しているケースもあるなど、周囲の者からは見えにくい構造もある。
さらに、直接の接点がないと思われる集団においても、いじめが発生する可能性があり、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNSという。)でのやりとりの中でつくられている関係についても留意する。
(2)いじめの態様
いじめは、冷やかしやからかい、悪口等、見た目にはいじめと認知しにくいものがあるほか、暴力を伴わない脅しや強要等がある。たとえ、冷やかしやからかい等、一見、仲間同士の悪ふざけに見えるような行為であっても、何度も繰り返されたり、
多くの者から集中的に行われたりすることで、深刻な苦痛を伴うものになり得る。
特に、遊びのふりをして軽く叩く、蹴るなどは、周囲の者がいじめと認知しにくい場合もあることから、いじめを受けた生徒の心情を踏まえて適切に認知する。
本校では、いじめを認知する際の具体的な態様として、次のような例を参考にしながら判断するものとする。
(暴力を伴うもの)
○軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
○ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする 等(暴力を伴わないもの)
○冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
○仲間はずれ、集団による無視をされる
○金品をたかられる
○金品・持ち物を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
○嫌なことやはずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
○パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる 等
4 いじめの防止等の学校の取組
(1)いじめの防止等の対策のための組織
いじめの防止等に組織的に対応するために、学校長が任命した構成員からなる「いじめ防止等対策委員会」を設置する。
ア 「いじめ防止等対策委員会」の構成員は次の通りとする。
校長、教頭、生徒指導部(部長、教育相談係)、養護教諭、平和人権委員長。必要に応じて当該担任や専門機関、スクールカウンセラー、SSW(スクールソーシャルワーカー)等
イ 「いじめ防止等対策委員会」は次のような役割を担う。
① 学校のいじめ防止基本方針が、学校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて見直すというPDCAサイクルの検証の中核となる役割
② いじめの相談・通報の窓口としての役割
③ いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う役割
④ いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施するための中核としての役割等
(2)未然防止
いじめ問題を克服するために、本校の教育活動全体を通じて、全ての生徒を対象にいじめの未然防止の取組を行う。
特に、全ての生徒に「いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である」との理解を促し、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を行う。また、生徒の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度等、よりよい人間関係を構築する能力を養う。
ア 道徳教育及び体験活動等の充実
教育活動全体を通じて、生徒に、かけがえのない自他の生命や人権を尊重する心と態度を醸成するため、道徳教育の充実を図る。また、ボランティア活動、異年齢集団での活動等、他者と深く関わる体験を重ね、生徒の豊かな情操と道徳心を培い、よりよい人間関係を構築する能力の素地を養う。
イ 生徒会活動等の活性化
学級活動(ホームルーム活動)等で、自分の意見や考えを交流したり、集団として合意形成したことを実行に移し、問題の解決や改善を図ったりする機会を設けることによって、生徒のコミュニケーション能力や自己有用感等を高め、社会に参画する態度や自主的・実践的な態度を醸成する。生徒が自らの力で問題を解決し、自治的な能力を身に付けられるよう、生徒による自主活動や主体的な活動をあらゆる機会を通じて行う。
ウ 生徒の人権意識の向上
いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である。このことをしっかりと受け止め、生徒に人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に身に付けさせ、自分とともに他の人の大切さを認めようとする意欲や態度、行動力を育成する。また、生徒一人一人が大切にされ、安心・安全が確保される環境づくりに努める。
エ 授業づくりの改善と工夫
授業においては、生徒に授業規律を徹底させるとともに、生徒にわかる、できる喜びや実感を与えられるよう、日頃から教材研究や授業研究を行うなど指導方法の工夫・改善に努める。
オ 開かれた学校づくり
本校が取り組むいじめ防止について、保護者への理解を促すとともに、育友会等と定期的に情報交換したり、地域共育コミュニティや学校評議員の制度を活用したりするなど、いじめ防止のために家庭・地域が積極的に相互協力できる関係づくりを進める。
カ インターネット上のいじめの防止
生徒にSNS等を含むインターネット上の不適切な書き込み等が重大な人権侵害行為であることをしっかりと指導するとともに、授業だけではなく、外部の専門家等を招き、生徒にインターネットの利用のマナーやモラルについて学習させる。また、保護者に対して、フィルタリングの設定やインターネットの利用に関する家庭でのルールづくり等を周知徹底する。
(3)早期発見・早期対応
ア 早期発見
いじめの発見の遅れは、早期解決を困難にさせ、問題の複雑化、深刻化につながることがあるため、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないよう意識を高く保つとともに、教育相談体制を整え、いじめを積極的に認知することに努める。
① いじめアンケート等の実施
いじめアンケートを各学期に1回以上実施する。実施にあたっては、生徒が素直に自分の心情を吐露しやすい環境をつくるものとする。学級担任等は、いじめアンケートの結果について気になることがあれば、昼夜間部代表や生徒指導部長に相談するとともに、直ちに管理職に報告する。
② 教育相談体制の充実
定期的に個人面談や、保護者を交えた三者面談を実施し、生徒や保護者の声に耳を傾け、いじめ等の訴えがあった場合、スクールカウンセラー等を活用しながら、生徒等の思いや不安・悩みをしっかりと受け止める。月1回の子育て交流父母の会で保護者との情報交換を行い、いじめや不登校について話しやすい環境を整える。
③ 中学校訪問の実施
中学校との連携を図り、入学生徒の中学校時の生活状況等の情報を得ることで、高校入学後の生徒指導に活かす。
イ 早期対応
いじめを認知した場合、次の ① ~ ④ に留意して、組織的に迅速かつ適切に対応する。
① 安全確保
いじめを認知した場合、直ちにいじめを受けた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保する。
② 事実確認
いじめを認知した場合や、生徒がいじめを受けていると疑われる場合は、直ちにいじめの事実の有無を確認する。
③ 指導・支援・助言
いじめがあったことが確認された場合は、直ちにいじめをやめさせ、その再発を防止するため、スクールカウンセラーやSSW(スクールソーシャルワーカー)等の協力を得ながら、複数の教職員等によって、いじめを受けた生徒やその保護者への支援や、いじめを行った生徒への指導又はその保護者への助言を継続的に行う。また、その際、対応したことを記録として残しておく。
④ 情報提供
いじめの早期解決を図るため、事実関係が明確になった情報を、いじめを受けた生徒の保護者やいじめを行った生徒の保護者に必要に応じて提供する。
ウ 学校間の連携
いじめを受けた生徒といじめを行った生徒が同じ学校に在籍していない場合、当該生徒の保護者への指導・支援等を適切に行うことができるよう、教育委員会等と連携して、学校間の円滑な連絡・協力を行う。
エ 関係機関との連携
いじめが、犯罪行為として取り扱われるべきものであると認められる場合は、教育的な配慮や被害生徒等の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談し、適切に援助を求める。なかでも、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような場合は、直ちに警察に通報し、連携した対応をとる。なお、生徒の安全確保及び犯罪被害の未然防止のため、警察署との連携が必要と認められる事案については、県の「きのくに学校警察相互連絡制度」に基づいて適時・適切に連絡する。また、児童相談所や青少年センター等関係機関との情報交換を適宜行う。
オ インターネット上のいじめへの対応
インターネット上に不適切な書き込み等を行っているとの連絡を受けた場合、そのサイト等を確認し、デジタルカメラ等で記録したうえで、当該生徒及びその保護者に了解をとり、不適切な書き込み等のあるプロバイダに連絡し、削除を要請する。なお、不適切な書き込み等が犯罪行為と認められる場合は、削除要請を依頼する前に警察に通報・相談する。
カ 懲戒の適切な運用
学校長がいじめを行った生徒の性行の改善が見られないと判断した場合は、学校教育法施行規則第26条に基づく懲戒によって内省を促す。
(4)教職員の資質能力の向上
「いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である。」という基本認識に立ち、全ての教職員が生徒としっかり向き合い、いじめの防止等にきっちり取り組める資質能力を身につけられるよう、マニュアルやハンドブックなどを活用し、年2回(4月、9月)、校内研修を行う。
(5)家庭・地域との連携
保護者や地域住民の信頼関係を構築し、生徒の家庭や地域での様子を気軽に相談できる体制を整備する。また、いじめの防止等の取組について、保護者に理解を得て、育友会総会や三者面談、学級懇談会等の機会に情報交換を行う。さらに、地域住民の学校行事への参加を促したり、連携して街頭指導を実施したりして、校外での生徒の様子を把握する。
(6)継続的な指導・支援
「いじめ防止等対策委員会」やスクールカウンセラー、SSW(スクールソーシャルワーカー)等を交えたケース会議等を定期的に行い、生徒の人間関係を継続的に注視していく。いじめを受けた生徒については、継続的な心のケアに努めるとともに、自己有用感等が回復できるよう支援する。また、いじめを行った生徒については、いじめの背景にある原因やストレス等を取り除くよう支援するとともに、相手を思いやる感情や規範意識が向上できるよう粘り強く指導する。さらに、当該生徒の保護者と常に連絡を取り合い、家庭での様子や生徒の言動を継続的に把握する。
(7)取組内容の点検・評価
いじめ防止等について、具体的な取組状況や達成状況を学校評価等を利用して確認するとともに、「いじめ防止等対策委員会」を中心に学校基本方針を点検し、必要に応じて見直しを行う。
5 重大事態への対処
(1)重大事態の判断・報告
次のような事態(以下、「重大事態」という。)が発生した際、文部科学省で定めている重大事態対応フロー図をもとに、直ちに適切な対処を行う。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
重大事態については、次の事項に留意する。
・「生命、心身又は財産に重大な被害」については、次のようないじめを受けた生徒の状況に着目して判断する。
○ 生徒が自殺を企図した場合
○ 身体に重大な傷害を負った場合
○ 金品等に重大な被害を負った場合
○ 精神性の疾患を発症した場合
・「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、生徒がいじめにより一定期間、連続して欠席しているような場合にも、直ちに適切な対処を行う。
・生徒や保護者から、いじめを受けて重大事態に至ったという申立てがあったときは、その時点で学校が、「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えていたとしても、重大事態が発生したものとして対処する。
(2) 重大事態の調査の実施と結果の提供
ア 重大事態が発生した場合、直ちに教育委員会に報告する。
イ 「いじめ防止等対策委員会」が中心となって、事実内容を明確にするための調査にあたる。
ウ 調査の際、アンケートを実施する場合は、その旨を調査対象の生徒やその保護者に説明するなどの措置を行う。
エ 調査により明らかになった事実関係について、情報を適時・適切な方法でいじめを受けた生徒及びその保護者に対して提供する。
平成26年3月25日作成
平成31年4月1日改訂
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1 基本理念
いじめは、生徒の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、将来にわたって、いじめを受けた生徒を苦しめるばかりか、人間の尊厳を侵害し、生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある絶対に許されない行為である。いじめは、どの生徒、どの学校でも起こり得ることから、本校でも起こり得るとの認識をもって取り組まなければならない。そのためには、常に、保護者、関係機関等との連携を図りつつ、学校全体で組織的にいじめの防止及び早期発見に努めるとともに、生徒がいじめを受けていると思われるときは、迅速かつ適切に対処し、さらにその再発防止に努めることが必要である。本校はいじめを防止するために、学校いじめ防止委員会の存在及び活動が生徒に認識されるとりくみを行う。
2 いじめの定義
「いじめ」とは、「当該生徒が、一定の人間関係にある者から、心理的または物理的な影響や攻撃を受けたことにより、心身の苦痛を感じているもの」である。なお、その行為の場所は、学校内外(インターネット等の電子媒体によるものも含む)を問わない。個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は上記の定義に基づき行うものとする。その際、いじめられた生徒の立場に立つことを基本とする。
・「一定の人間関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級や部活動の生徒や、塾・スポーツクラブ等当該生徒が関わっている仲間や集団(グループ)等、当該生徒と何らかの人間関係を指す。
・「物理的な影響や攻撃」とは、身体的な影響をはじめ、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことをさせられたりすることや、インターネット上での誹謗中傷なども意味する。
・けんかやふざけあいであっても、見えない所で被害が発生している場合があるため、背後にある事情の調査を行い、生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するかを判断する。
・軽い言葉で相手を傷つけたが、すぐに加害者が謝罪し、教員の指導によらずして良好な関係を再び築くことができた場合においては、「いじめ」という言葉を使わず指導するなど、柔軟な対応による対処も可能である。ただし、この場合もいじめに該当するため情報共有することは必要である。
・インターネット上で悪口を書かれた生徒が、そのことを知らず、心身の苦痛を感じていない場合についても、加害行為を行った生徒が判明した場合は、いじめと判断して適切な対応をとる。
3 いじめの理解
いじめはどの生徒にも、どの学校でも起こり得る問題である。いじめに気づくためには、「いじめは、見ようとしないと見えない」との認識に立ち、いじめに見られる集団構造やいじめの態様についてしっかりと理解する。
(1)いじめに見られる集団構造
いじめは、加害・被害という二者関係だけの問題ではない。周りではやし立てたり面白がったりする「観衆」や、見て見ぬ振りをし、暗黙の了解を与えている「傍観者」も、いじめを助長する存在である。また、一見、仲が良い集団においても、集団内に上下関係があり、上位の者が下位の者に他者へのいじめを強要しているケースもあるなど、周囲の者からは見えにくい構造もある。さらに、直接の接点がないと思われる集団においても、いじめが発生する可能性があり、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNSという)等でのやりとりの中でつくられている関係についても留意する。
(2)いじめの態様
いじめは、冷やかしやからかい、悪口等、見た目にはいじめと認知しにくいものがあるほか、暴力を伴わない脅しや強要等がある。たとえ、冷やかしやからかい等、一見、仲間同士の悪ふざけに見えるような行為であっても、何度も繰り返されたり、多くの者から集中的に行われたりすることで、深刻な苦痛を伴うものになり得る。特に、遊びのふりをして軽く叩く、蹴るなどは、周囲の者がいじめと認知しにくい場合もあることから、いじめを受けた生徒の心情を踏まえて適切に対処する必要がある。本校では、いじめを認知する際の具体的な態様として、次のような例を参考にしながら判断するものとする。
[具体的ないじめの態様]
(暴力を伴うもの)
○軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
○ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする 等(暴力を伴わないもの)
○冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
○仲間はずれ、集団による無視をされる
○金品をたかられる
○金品・持ち物を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
○嫌なことやはずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
○パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる 等
4 いじめの防止等の学校の取組
(1)いじめの防止等の対策のための組織
ア いじめの防止等に組織的に対応するために、学校長が任命した構成員からなる、学校対策組織を設置する。
イ 学校対策組織の構成員は次の通りとする。校長、教頭、人権エレベーター委員会代表、1・2年担任代表、3・4年担任代表、生徒指導部(必要に応じて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー)
ウ 学校対策組織は次のような役割を担う。
(ア)学校基本方針が、学校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて学校基本方針を見直すというPDCAサイクルの検証の中核となる役割
(イ)いじめの相談・通報の窓口としての役割
(ウ)いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う役割
(エ)いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施するための中核としての役割等
(2)未然防止
いじめ問題を克服するために、本校の教育活動全体を通じて、全ての生徒を対象にいじめの未然防止の取組みを行う。特に、全ての生徒に「いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である」との理解を促し、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を行う。また、生徒の豊かな情操や道徳心、自分と他者の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度等、よりよい人間関係を構築する能力を養う。いじめに向かわない態度・能力の育成等のいじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりのために、具体的な指導内容のプログラム化を図る。
ア 道徳教育及び体験活動等の充実
教育活動全体を通じて、生徒に、かけがえのない自他の生命や人権を尊重する心と態度を醸成するため、道徳教育の充実を図る。また、ボランティア活動、異年齢集団での活動等、他者と深く関わる体験を重ね、生徒の豊かな情操と道徳心を培い、よりよい人間関係を構築する能力の素地を養う。
イ 生徒会活動の活性化
生徒が自らの力で問題を解決し、自治的な能力を身につけられるよう、生徒による自主活動や主体的な活動をあらゆる機会を通じて行う。本校は通信制課程であるため登校は基本的に週に1~2回であり、ホームルームに出席する生徒も毎週同じではないので、クラスの人間関係は希薄であり自主的な活動を持つ場所とはなりにくい。そのような学校生活の中で、生徒会活動を生徒たちの自主活動の場として活用する。生徒会の役員となりうる生徒を見いだし、リーダーづくりに努め、そのリーダーを中心に各学年ごとに核をつくり、様々な行事に取組むことで生徒たちの輪を広げていく。また、学校行事でつくられた集団から生徒会を担ってくれる生徒が生まれるように指導する。そのような活動の中で生じた問題を自分の意見や考えを交流させながら解決することを通じて、生徒のコミュニケーション能力や自己有用感を高め、社会に参画する態度や自主的・実践的な態度を醸成する。
ウ 生徒の人権意識の向上
いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である。このことをしっかりと受け止め、生徒に人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に身に付けさせ、自分とともに他者の大切さを認めようとする意欲や態度、行動力を育成する。また、生徒一人ひとりが大切にされ、安心・安全が確保される環境づくりに努める。
エ 授業づくりの改善と工夫
授業においては、生徒に授業規律を徹底させるとともに、生徒にわかる、できる喜びや実感を与えられるよう、日頃から教材研究や授業研究を行う。また、個々の生徒が卒業への意志を持ち続けられるよう教科担当と担任が連絡を密に取り、指導方法の工夫・改善に努める。
オ 開かれた学校づくり
本校のいじめ防止等の取組みについて校報発送時に同封するなど、保護者への理解を促すとともに、学校評議員の制度を活用するなど、いじめ防止のために家庭・地域が積極的に相互協力できる関係づくりを進める。
カ インターネット上のいじめ防止
生徒にSNSを含むインターネット上の不適切な書き込み等が重大な人権侵害であることをしっかりと指導するとともに、スクーリングだけではなく、外部の専門家を招き生徒にインターネットの利用のマナーやモラルについて学習機会を設け、生徒の規範意識の向上に努める。また、保護者に対しては、フィルタリングの設定やインターネットの利用に関する家庭でのルールづくり等の必要性を訴える文書を定期的に校報発送時に同封し、インターネット上のいじめ防止には家庭での話し合いや保護者の指導が不可欠であることを周知徹底する。
(3)早期発見・早期対応
ア 早期発見
いじめの発見の遅れは、早期解決を困難にさせ、問題の複雑化、深刻化につながることがある。そのため、日頃から生徒を見守り、信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないよう意識を高く保つ。また、スクールカウンセラーや関係機関と緊密に連携し、いじめに発展しそうな状況や事象を早期に察知し、事前に対処していく。
(ア)いじめアンケートの実施
「いじめアンケート」を8月・10月・1月のスクーリングで実施し、定期的に生徒の状況を把握する機会を設ける。学級担任等は、いじめアンケートの結果について気になることがあれば、学年主任や生徒指導主任等に相談するとともに、直ちに管理職に報告する。必要と認識すれば、個人面談を行う。また、クラスでアンケートを実施しなければならない時は、生徒が素直に心情を吐露しやすいように、無記名での実施や封筒に入れての回収等、実情に応じて配慮する。
(イ)教育相談体制の充実
定期的に個人面談を実施し、生徒の声に耳を傾け、いじめ等の訴えがあった場合、生徒等の思いや不安・悩みを十分受け止める。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、相談窓口等を活用しながら、いじめを訴えやすい環境を整える。
(ウ)「相談窓口」の周知
校報とともに定期的に最新の「相談機関の案内」を同封するとともに、校内には「いじめ相談窓口」があることを知らせる掲示を常にしておき、いじめを許さない学校の姿勢を示すとともに、いじめの潜在化を防ぐ。
イ 早期対応
いじめを認知した場合、次の(ア)~(エ)に留意して、組織的に迅速かつ適切に対応する。
(ア)安全確保
いじめを認知した場合、直ちにいじめを受けた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保する。
(イ)事実確認
いじめを認知した場合や、生徒がいじめを受けていると疑われる場合は、直ちにいじめの事実の有無を確認する。
(ウ)指導・支援・助言
いじめがあったことが確認された場合は、直ちにいじめをやめさせ、その再発を防止するため、複数の教職員等によって、いじめを受けた生徒やその保護者への支援や、いじめを行った生徒への指導又はその保護者への助言を継続的に行う。その際、対応したことを記録として残しておく。また、必要な場合、関係機関(医療機関・児童相談所・警察等)との連携も行う。
(エ)情報提供
いじめの早期解決を図るため、事実関係が明確になった情報を、いじめを受けた生徒の保護者やいじめを行った生徒の保護者に必要に応じて提供する。
ウ 関係機関との連携
いじめが、犯罪行為として取扱われるべきものであると認められる場合は、教育的な配慮や被害生徒等の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談し、適切に援助を求める。なかでも、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような場合は、直ちに警察に通報し、連携した対応をとる。なお、生徒の安全確保及び犯罪被害の未然防止のため、警察署との連携が必要と認められる事案については、県の「きのくに学校警察相互連絡制度」に基づいて適時・適切に連絡する。また、児童相談所や青少年センター等関係機関との情報交換を適宜行う。
エ インターネット上のいじめへの対応
インターネット上に不適切な書き込み等を行っているとの連絡を受けた場合、そのサイト等を確認し、デジタルカメラ等で記録したうえで、当該生徒及びその保護者に了解をとり、不適切な書き込み等のあるプロバイダに連絡し、削除を要請する。なお、不適切な書き込み等が犯罪行為と認められる場合は、削除要請を依頼する前に警察に通報・相談する。
(4)教職員の資質能力の向上
「いじめはどの生徒にも、どの学校でも起こり得る問題である。」という基本認識に立ち、全ての教職員が生徒としっかり向き合い、いじめの防止等に適切に取り組める資質能力を身につけられるよう、現職教育等により、いじめ防止についての理解や対応能力を向上させていく。いじめ防止の取組みが、的確かつ有効に実施できているかを定期的に点検し、必要に応じ取組みの見直しや改善を実施する。
(5)家庭との連携
本校では、月に1度生徒と学校の架け橋ともなる校報『陵雲』を発行し、生徒に送付している。その中には、日程に関する記事や連絡のほか様々な行事に参加した生徒たちの感想が掲載されている。生徒には必ず読むように指導しているが、保護者にも読むことを勧め、学校の様子や行事に対する保護者の関心を高め、学校を身近な存在と感じてもらう。そして、「いじめ防止」についての情報を、校報発送時に同封するなどして特定の取組みについての保護者の理解を促し、気軽に相談できる体制を整備する。
(6)継続的・組織的な指導・支援
学校対策組織の話し合いを定期的に行い、生徒の人間関係を継続的に注視していく。いじめを受けた生徒については、継続的な心のケアに努めるとともに、自尊感情や自己肯定感が回復できるよう支援する。また、いじめを行った生徒については、成長支援の観点から、いじめの背景にある原因やストレス等を取り除くよう支援するとともに、相手を思いやる感情や規範意識が向上できるよう粘り強く指導する。さらに、当該生徒の保護者と常に連絡を取り合い、家庭での様子や生徒の言動を継続的に把握する。学校いじめ防止基本方針に基づく対応が徹底されることにより、教職員がいじめを抱え込まず、学校のいじめへの対応が個々の教職員による対応でなく組織として一貫した対応となる。
(7)取組内容の点検・評価
いじめ防止等について、具体的な達成目標を設定し、学校評価等における達成状況を評価する。学校対策組織を中心に学校基本方針やいじめ防止等の取組みの改善を図る。
5 重大事態への対処
(1)重大事態の判断・報告
次のような事態(以下、「重大事態」という)が発生した際、文部科学省で定めている重大事態対応フロー図をもとに、直ちに適切な対処を行う。
一 いじめにより当該学校に在籍する生徒等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する生徒等が連続して欠席している疑いがあると認めるとき。重大事態については、次の事項に留意する。
・「生命、心身又は財産に重大な被害」については、次のようないじめを受けた生徒の状況に着目して判断する。
○ 生徒が自殺を企図した場合
○ 身体に重大な傷害を負った場合
○ 金品等に重大な被害を負った場合
○ 精神性の疾患を発症した場合
(2)重大事態の調査の実施と結果の提供
ア 重大事態が発生した場合、直ちに教育委員会に報告する。
イ 学校対策組織が中心となって、事実内容を明確にするための調査にあたる。
ウ 調査の際、アンケートを実施する場合は、その旨を調査対象の生徒やその保護者に説明するなどの措置を行う。
エ 調査により明らかになった事実関係について、情報を適時・適切な方法でいじめを受けた生徒及びその保護者に対して提供する。
補則
1、平成25年度制定
2、平成30年2月改定